【第6回Knot Program】「3つのM」を効果的に掛け合わせたマーケティングコミュニケーション

  1. Knot program

早いもので、Knot Programがスタートして半年。6回目となる定例会が9月21日にオンラインにて開催されました。今回のテーマは「マーケティング」についてです。

参加者の皆さんは、営業やメディア露出、SNSを駆使して、自社サービスの認知拡大を図っている真っ最中。講義では、さらに効果的なマーケティング手法を取り入れるために、その基本に立ち返り、自社の課題を詳らかにしました。

では、各参加者の発表と講義内容についてご紹介します。

イベント情報

実践型起業家育成プログラム「Knot Program」第6回定例会

主催:株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ、オンラインコミュニティSHIP

日時9月21日(水) 19:00〜20:30
内容・参加者による発表
・講義「マーケティング」について
参加者※敬称略、都合により一部匿名・略称表記
<講師>
本田克徳(株式会社ユカリア デジタルソリューション事業本部 マネージャー)

<発表者> ※発表順
1)畔原篤(薬剤師・公衆衛生学修士)
2)氏家(株式会社Plusbase  Co-CEO)
3)田原純平(株式会社ヒフナビ代表取締役│皮膚科医)
4)高木大地(株式会社Cone・Xi代表取締役│看護師)
5)古田泰之(PreMed株式会社CEO│脳神経外科専門医・脳血管内治療専門医)
6)A(薬剤師)

<コメンテーター>
青木武士(株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ) 

<司会進行>
河村由実子(株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ)


【講師紹介】
本田克徳氏(株式会社ユカリア デジタルソリューション事業本部 マネージャー)

<略歴>
・ソフトバンク株式会社(コールセンターの戦略設計と業務プロセス改善)
・株式会社リヴァンプ(主にリテールセクターの経営改革、CRM・販促マーケティング支援)
・株式会社エス・エム・エス(介護事業者向け事業のマーケティング責任者)
・オイシックス・ラ・大地株式会社(経営企画責任者・PMI・上場市場指定替え)
ほか


【発表】
自社サービスに効果的なマーケティング施策は何か?認知拡大と顧客獲得に向けてタイミングよく実行しよう!

今回、参加者の皆さんにはマーケティング施策とその実行状況について発表いただきました。自社サービスの特徴やタイミングに合わせた戦略を立てようと、さまざまな切り口が見受けられ、興味深い発表内容でした。

参加者の皆さんがそれぞれ、どのようにサービスの認知拡大と顧客の獲得を目指しているのか、具体的な施策内容を紹介します。

公式LINEから有料コンテンツへの移行に向けて発信力の強化

頭痛に対するお役立ち情報やお悩み相談を、公式LINEを用いて提供する畔原さん。現在は、コンテンツへの流入を図るためにランディングページ(LP)の設置やTwitterでの発信を始めており、その分析と対策を実践中です。

今後はさらに認知拡大のための取り組みと、公式LINEの登録者を有料コンテンツへ移行できるよう、施策のボリューム感とマーケティング予算の配分を見極めながら尽力していきます。

メディアのトレンドを追い風にコミュニティ登録者数1万人を目指す

看護師のメンタルヘルスケアサービスのリリースを10月末に控え、現在メディア露出や有料広告に尽力し、認知拡大を図る氏家さん。「看護師のメンタルヘルスケア」、「女性起業家」というトレンドワードを活かし、ブランディングを高めていています。

また、メンタルダウンしている看護師がTwitterを活用している傾向にあることを切り口に、コミュニティ参入への導線を強化する予定とのこと。メンバー登録数1万人を目標に掲げ、勢いを加速させています。

フックと回収エンジンの設計、リード獲得に向けた地道な努力

田原さんが提供したいのは、ドラックストアで買い物客への健康相談を担い、店の顧客を作ることでOTC医薬品の売り上げをアップさせるコンサルサービスです。

現在はビジネス設計として、フック(顧客等を引き付ける機能)と回収エンジン(儲かる仕掛け)を検証しており、同時に直接営業やLP・SNSでの情報発信、ホワイトペーパーでのリード獲得を目指して地道な努力を重ねています。

Instagramを活用した人材確保に注力。顧客のカスタマージャーニーを設計

高木さんが解決したいのは、訪問看護ステーションの大きな課題である、緊急時のスケジュール変更や人材不足について。その管理調整を代行し、看護師をスムーズに現場へ派遣できるよう、先行リリースしているアプリ内で単発バイトの募集を計画しています。

現在は特にInstagramを活用してサービスの認知拡大を図っており、そのアルゴリズムや求めている人材のカスタマージャーニーマップに則って投稿内容を工夫しています。公式LINEやアプリへの流入を促し、登録者数を伸ばしている状況で、進捗は順調のようです。

市場規模とペルソナに合わせたマーケティング手法の選択

古田さんは、PHRを社会実装するうえで、医療現場の音声記録技術を開発しています。そこで、診療時の音声記録でネックとなりやすい難聴者に対応できるよう、補聴器の技術開発を進めているのだとか。

現在、競合他社と差別化を図るため、ターゲットの選別や補聴器に独自の技術を導入しようと吟味しており、市場規模とペルソナに合わせたマーケティング手法の選択が課題となっています。難聴者の世代によってセールスポイントは異なるので、保険適用になるか否かも考慮して戦略を考案中です。

市場傾向に合わせたセールスと認知拡大

作業工数が多い疑義照会をDXすることで効率化し、病院と門前薬局の業務改善を図ろうとしている薬剤師のAさん。マネタイズモデルの鍵となる購入意思決定者としては、決裁権のあるエリアマネージャーを想定しており、サービスの利点を理解してもらいやすいよう、セールスに注力していきます。

市場傾向として、アカデミックでの信用が得られれば、サービス導入の後押しとなると分析しており、学会やイベント開催で認知を高めていく予定です。


【講義】
「3つのM」を効果的に掛け合わせたマーケティングコミュニケーションを

まずは、マーケティングの概念から説明します。マーケティングとは、サービス・プロダクトを販売し利益を得るために行なう、顧客とのコミュニケーションです。つまり、マーケティングに費用や時間をかけることは、販売利益を得るための先行投資と言えるでしょう。

今回の講義では、キャピタルメディカ・ベンチャーズでディレクターを務める本田克徳さんに、マーケティングコミュニケーションの基本についてお話しいただきました。

本田さんによると、マーケティングの要素として特に意識したいのが、マーケット(顧客)・メディア・メッセージの「3つのM」です。それぞれの要素の特徴をよく理解し、効果的な掛け合わせでコミュニケーションを図るのがマーケティングの醍醐味です。では、その詳しい内容を説明します。

顧客をセグメンテーションし、コミュニケーションを図る

「マーケティングコミュニケーションにおいて大切なのは、「自社サービスの顧客がどのような人なのか、しっかりとセグメンテーションすること」です。顧客の性質は一様ではなく、それぞれのニーズも異なるからです。

例えば、介護事業所に対し販売していく場合、顧客の経営状態や事業種別はさまざまで、やみくもにコミュニケーションをとるのは得策ではありません。つまり、顧客をセグメンテーションしてニーズを把握し、自社商品の提供価値がきちんと届く人にコミュニケーションを図ることが大切なのです。

メディアの特徴を理解して、サービスや顧客タイプに合ったコミュニケーションを

顧客理解の後は、どのメディアでのコミュニケーションが適切なのか考えていきます。前述した顧客の経営状態や事業種別を考慮した上で、購買心理を踏まえてメディアを使い分けるとよいでしょう。AIDAの法則(※1)を意識し、コミュニケーションプロセスを踏むのが基本とされています。スタートアップのようなリソースに制限がある事業に関しては、購買欲求が高いユーザーにアプローチした方が、顧客獲得単価(CPA)を抑えられるので、おすすめです。

※1 AIDAの法則:消費者が商品・サービスを知り、購入に至るまでのプロセス。分解すると、Attention(注意を引き)、Interest(興味を持ち)、Desire(購買欲求が高まり)、Action(行動する、買う)。

セールスコピーやメディアデザインで顧客に刺さるメッセージを

最後にメッセージについてです。顧客心理に合わせたセールスコピーやメディアデザインで購買意欲を高めていきます。

PASONAの法則(※2)やテイクアウェイ・セリング(※3)など、マーケティングコミュニケーションの王道であるセールスコピーライティングを、適切なタイミングで用いて、顧客の流入・囲い込みにつなげます。また、LPでは流入顧客を逃さないようなデザイン設計や仕組みをつくり、訴求性の高いページを設置しましょう。

※2 PASONA(パソナ)の法則:Problem(問題) Agitation(扇動) Solution(解決策) Narrow down(絞込) Action(行動)の頭文字で、消費者の購買を促すためのメッセージの法則性を表したもの。

※3 テイクアウェイ・セリング:顧客に対して商品、サービスのベネフィットを説明して買いたいと思わせておきながら、商品を買わせない、または手に入らない可能性があるといってセールスをする方法。

【まとめ】マーケティングコミュニケーションの視点を学び、戦略を見直すきっかけに

今回の講義では、「3つのM」を意識したマーケティングコミュニケーションについて詳しく学びました。顧客獲得費用(CAC)や顧客生涯価値(LTV)など、短期的・長期的に費用対効果を照らし合わせながら先行投資し、PDCAを繰り返しましょう。

講義の後、参加者の皆さんからは以下のような学びの声をいただきました。

  • ペルソナの細かい設定が必要だと分かった
  • マーケティングの費用対効果について意識を高める
  • 購買心理を理解した上で、どのように攻めるか戦略を練りたい
  • 長期的な視点を持つ必要がある。入口(流入)に囚われがちだったので、出口戦略(成果)を見直したい

講義をきっかけにマーケティングの基本に立ち返り、見落としていた課題を明らかにできたようでした。


Knot Programの定例会は、次回で最終回。11月19日に行われる「Healthcare Venture KNOT 2022」のピッチコンテストに向けて、資金調達のためのピッチの要点を学びます。財務計画を含めて投資家たちへのアピールができるよう、本番に向けて準備していきましょう!

Healthcare Venture KNOT 2022のご案内

2022年11月19日(土)に開催されるHealthcare Venture Knotでは、7ヵ月間ノットプログラムでビジネスプランをブラッシュアップした6名の精鋭たちがピッチコンテストに登壇します。また、「在宅医療×DX」や「Web3×ヘルスケア」をテーマにしたトークセッションも行います。

会場・オンライン参加どちらも可能ですので、ぜひこの貴重な機会に知見を広げてみませんか?

イベントのお申し込みは、こちらのPeatixページからお願いいたします。


皆様のご参加、お待ちしております!


【文=川村みさと】