インパクト起業家必須!アウトカム評価の重要性と愛されるクリエイティブの極意【第3回 Knot Program2024 】
2024年7月16日、実践型インパクト起業家育成プログラム「Knot program(ノットプログラム)」の第3回定例会が開催されました。今回の講師は、株式会社omniheal代表取締役の石井洋介さんと、静岡社会健康医学大学院大学の准教授である藤本修平さんです。6チーム・10名の起業家たちは、事業作りに欠かせない「愛されるクリエイティブの要点」や「ヘルスケアサービスのアウトカム評価」について学びました。本記事では、第3回定例会での課題発表や講義の様子をお伝えします。
【イベント概要】
実践型起業家育成プログラム「Knot Program2024」第3回定例会
主催:株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ、おうちの診療所 Presented by 東京ウェルネスインパクトファンド
日程 | 2024年7月16日(火) |
開催場所 | オンラインZoom |
内容 | 課題発表:「愛されるクリエイティブの要点」 講義:「ヘルスケアサービスのアウトカム評価」 |
参加者 | <起業家> ※敬称略、順不同 1) 高山 耕輔(株式会社EightLab ) 2) 鈴木 円香(株式会社COMARU) 3) 伴 大輔(TherapEase) 4) 酒井 和也(Reinvent health) 5) 鶴田 桂子(株式会社BANSO-CO) 6) 土井 理美(株式会社BANSO-CO) 7) 伊角 彩(株式会社BANSO-CO) 8) 大平 智祉緒(株式会社RingsCare) 9) 岡田 里香(株式会社RingsCare) 10) 上野 榛華(株式会社RingsCare) <講師> 石井 洋介(株式会社omniheal代表取締役 / おうちの診療所中野 院長) 藤本 修平(静岡社会健康医学大学院大学 准教授) <メンター / スタッフ> 青木 武士(キャピタルメディカ・ベンチャーズ) 後町 陽子(キャピタルメディカ・ベンチャーズ) 本田 克徳(キャピタルメディカ・ベンチャーズ) 河村 由実子(キャピタルメディカ・ベンチャーズ) 甲 浩子(おうちの診療所) 横田 達之(おうちの診療所) 熊谷 稔(おうちの診療所) 宮﨑 海里(おうちの診療所) 和田 誠一郎(マネックスベンチャーズ) 西河 佑夏(マネックスベンチャーズ) |
【講師紹介】
石井洋介(株式会社omniheal代表取締役 / おうちの診療所中野 院長)
2010年高知大学卒。消化器外科医として手術をこなす中で、大腸癌などの知識普及を目的としたスマホゲーム「うんコレ」の開発・監修、「日本うんこ学会」の設立を行う。厚生労働省医系技官や経営コンサルタント等を経て現職。おうちの診療所目黒、秋葉原内科saveクリニックにて共同代表を務める。著書に『19歳で人工肛門、偏差値30の僕が医師になって考えたこと』(PHP研究所、2018年)など。
藤本修平(静岡社会健康医学大学院大学(静岡SPH)准教授)
スタートアップ、総合商社グループでヘルスケア関連のアプリ・店舗・AIの開発責任者を歴任。研究分野は、ヘルスケアビジネスのマーケティングリサーチ、ロジックモデル評価など。
【タイムスケジュール】
19:00〜19:05 イントロ
19:05〜19:40 課題発表「愛されるクリエイティブの要点」講師:石井 洋介氏
19:45〜20:15 講義「ヘルスケアサービスのアウトカム評価」講師:藤本 修平氏
20:15〜20:30 質疑応答・クロージング
課題発表「愛されるクリエティブの要点」
講師:石井洋介(株式会社omniheal代表取締役 / おうちの診療所中野 院長)
6月に行われた第2回定例会の講義では、石井さんからビジョン、ゴール、環境分析、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングなど、クリエイティブの成功に不可欠な要素を体系的に決めることの重要性が伝えられました。
今回は、その講義を踏まえて石井さんから出題された以下の課題に対する発表が行われました。
Q. 「キービジュアルを作ってみよう!」
提出物:画像と解説文(上位概念を説明する:ドメインとデザインの理由)
6チーム・10名の起業家たちは、3分間の発表を行い、石井さんからフィードバックを受けました。
「toBモデルは意思決定者(決裁者)に刺さる文言にしよう」「サービスを利用した後の状態を描いてみよう」「セグメントを絞ったクリエイティブを考えてみよう」「toCモデルは自分が使いたいと思えるクリエイティブに尖らせてみよう」といった多角的な視点からコメントがあり、起業家たちは事業のクリエイティブを見直す貴重な機会を得ました。
起業家からは、「toB、toCにより訴求ポイントが異なることが分かりました」「言葉や色使いなど微妙な違いでも、ターゲットによって大きく捉え方が変わることが分かりました。誰に届けたいのか、さらに深堀りしていきます」などのコメントが寄せられました。
講義「ヘルスケアサービスのアウトカム評価」
講師:藤本修平(静岡社会健康医学大学院大学(静岡SPH)准教授)
静岡SPHで行動医科学やヘルスコミュニケーションを専門に研究し、数多くのヘルスケアビジネスのマーケティングリサーチやロジックモデル評価に携わってきた藤本さんに、ヘルスケアサービスにおけるアウトカム評価の重要性や考え方、設計手法、分析などについてお話いただきました。
講義では、ヘルスケアスタートアップのロジックモデルやPay for success(PFS)※ モデルを用いた実例も示され、解説がありました。「ロジックモデルは、インパクト創出のための『登り方』を示したものです。登る過程で見える景色が変わったり、見えないルートが見えてきたりすることがあるため、ロジックモデルは事業成長と共に変化するものだと認識しましょう」と、ロジックモデルを作る際のポイントも伝えられました。
最後は、藤本さんから「技術や科学、その開発や社会実装が、いつ・誰を真に幸せにするか?」というメッセージが伝えられ、講義が締めくくられました。
起業家からは、「長期アウトカムと顧客のアウトカムの位置関係が分かりました」「直接アウトカムと最終アウトカムを実際に設定して、理論的根拠が説明できるように、実際に導入企業でヒアリングや実証実験、アンケートなどを行っていきたいと思います」といったコメントが寄せられました。
※ Pay for success(PFS):成果連動型民間委託契約方式。国又は地方公共団体が、民間事業者に委託等して実施させる事業のうち、その事業により解決を目指す行政課題に対応した成果指標が設定され、地方公共団体等が当該行政課題の解決のためにその事業を民間事業者に委託等した際に支払う額等が、当該成果指標の改善状況に連動するもの
【まとめ】
今回の定例会では、愛されるクリエイティブの要点を押さえることを目的に、事業のクリエイティブを作成し、発表しました。また「ヘルスケアサービスのアウトカム評価」をテーマとした講義を通じて、アウトカムやロジックモデルについて学びを深めました。
次回の第4回定例会までの1ヵ月間、6チーム・10名の起業家たちは、事業のアウトカム設定と測定尺度、直接アウトカムと長期アウトカムとの関連性を理論的根拠とともに説明する課題に取り組みます。11月の最終成果発表会までに、どのような事業に磨き上げられるか楽しみですね。メンターや運営メンバーも全力でサポートしていきます!
プログラムの様子は、こちらのサイト内で適宜配信してまいります。また、キャピタルメディカ・ベンチャーズのTwitterや、SHIPのTwitterでもプログラムの様子は配信していきますので合わせて御覧ください。