【第1回 Knot Program2024 】成長への第一歩!合宿で社会インパクト創出への登り方に磨きをかける

  1. Knot program

2024年5月18日から19日にかけて、東京都八王子市高尾町にて、実践型インパクト起業家育成プログラム「Knot program(ノットプログラム)2024」の第1回定例会(合宿)が開催されました。

全国から5チーム・9名の起業家が集結し、先輩起業家による講義や自己理解を目的としたワークショップ、セオリーオブチェンジ(ToC)を作成するワークショップに取り組みました。また、夜は美味しいお肉とお酒とともに、参加者、メンター、スタッフが交流を深めるBBQと焚き火が催されました。本記事では、2日間にわたる合宿の様子をお伝えします。


【イベント概要】

実践型起業家育成プログラム「Knot Program2024」第1回定例会(合宿) 

主催:株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ、おうちの診療所 Presented by 東京ウェルネスインパクトファンド

日程2024年5月18日(土) 〜 5月19日(日)
開催場所タカオネ(東京都八王子市高尾町)
内容1日目:自己理解研修、講義「セオリーオブチェンジ(ToC)」およびToC作成ワークショップ
2日目:ToCの発表、講義「課題・解決策フィット」
参加者<起業家> ※敬称略、順不同
1) 高山耕輔(株式会社EightLab )
2) 鈴木円香(株式会社COMARU)
3) 伴 大輔(TherapEase)
4) 鶴田桂子(株式会社BANSO-CO)
5) 土井理美(株式会社BANSO-CO)
6) 伊角 彩(株式会社BANSO-CO)
7) 大平智祉緒(株式会社RingsCare)
8) 岡田里香(株式会社RingsCare)
9) 上野榛華(株式会社RingsCare)

<講師>
大久保亮(株式会社Rehab for JAPAN 代表取締役社長 CEO)

<メンター / スタッフ>
青木武士(キャピタルメディカ・ベンチャーズ) 
後町陽子(キャピタルメディカ・ベンチャーズ)
本田克徳(キャピタルメディカ・ベンチャーズ)
河村由実子(キャピタルメディカ・ベンチャーズ)
石井洋介(おうちの診療所)
甲 浩子(おうちの診療所)
横田達之(おうちの診療所)
和田誠一郎(マネックスベンチャーズ)
西河佑夏(マネックスベンチャーズ)


【合宿タイムスケジュール】

◆ 1日目(5月18日)
12:00 開会挨拶・自己紹介
12:15 自己理解研修
13:15 講義「セオリーオブチェンジ(ToC)」
13:30 ToCワークショップ+発表準備
17:30 ワークショップ終了
18:00 BBQ
20:00 焚き火
21:00~ 自由時間(温泉、二次会、発表準備)

◆ 2日目(5月19日)
7:30 体操
9:00 ToC発表会
10:45 講義「課題・解決策フィット」
11:30 質疑応答
11:40 振り返り
12:00 解散


1)開会挨拶
青木 武士(キャピタルメディカ・ベンチャーズ)

ノットプログラム2024では、「『この課題を解決できたら、〇〇がこんなにも良くなるのに!』と考えているヘルスケア領域の課題とその解決策について、自らの言葉で伝え、インパクト投資家からの共感を得る」ことを目標としてます。開会挨拶では、プログラムと合宿の目的について改めて確認したうえで、「参加者同士で積極的に交流し、サポートしあえる関係性を築いていきましょう」とメッセージが伝えられました。


2)自己理解研修
講師:後町 陽子(キャピタルメディカ・ベンチャーズ) 

1日目の最初のプログラムは、アイスブレイクを兼ねた自己理解研修です。参加者は事前に自己理解テストを受け、その結果を基に研修に臨みました。結果を通じて自分の特性を客観的に理解し、グループワークを通じて共通点や違いについて語り合いました。

研修終了後には、共通言語を使って会話が盛り上がりました。今後の事業や組織作りのヒントも得ることができたようです。


3)講義「セオリーオブチェンジ(Theory of Change:ToC)」
講師:青木武士(キャピタルメディカ・ベンチャーズ)

続いては、「セオリーオブチェンジ(Theory of Change:ToC)」をテーマとした講義です。課題解決型ビジネスの重要性とその実践方法について伝えられました。

ビジネスは、「付加価値型」と「課題解決型」に分けることができます。付加価値型ビジネスは、商品やサービスに付加価値を提供することで成り立ちます。一方で、課題解決型ビジネスは、社会の具体的な課題を解決することで価値を創出します。

課題解決型ビジネスでは、解決すべき課題を明確にすることが重要です。自分がやりたいことと社会が必要としていることは必ずしも一致しないため、このギャップを認識する必要があります。また、仮説を立てて検証を繰り返すことが成功の鍵となります。このプロセスを通じて、効果的な解決策を見つけることができます。

課題解決型のビジネスでは、「セオリーオブチェンジ(ToC)」と「ロジックモデル」の活用が有用です。ToCはビジネスが社会変革にどう役立つかを図式化し、ゴール設定と変革のプロセスを示すメソッドです。ロジックモデルは企業の思考を整理し、社内外に伝えるためのコミュニケーションツールとなります。講義では、具体例を交えながら、誰がどんな課題を持っているかを明確にし、顧客の行動変容を段階的に進めることの重要性が伝えられました。

4)セオリーオブチェンジT(ToC)作成ワークショップ

講義の後は、起業家とメンターでそれぞれ5つのグループにわかれ、約4時間にわたるToCを作成するワークショップに取り組みました。課題と目指す世界、そこに向けた登り方について整理・可視化することで、足りない部分や事業の課題に向き合いました。

どのグループからも「あっというまの4時間だった」という声が聞かれました。

起業家の高山さんと、メンターの和田さん・西河さん
起業家の鈴木さんとメンター本田さん
起業家の伴さんと、メンターの甲さん、サポートメンター後町さん
RingsCareチームのみなさんと、メンターの石井さん
BANSO-COチームのみなさんと、メンターの青木さん


5)セオリーオブチェンジ(ToC) 発表会

2日目は、起業家チームの発表からはじまりました。

◆ 鈴木 円香(株式会社COMARU 代表取締役 / 看護師)

テーマ:障害者のコミュニケーション支援サービスの開発

日本では発達障害をもつ子どもが増加しており、特に自閉症の増加が顕著となっています。COMARUの鈴木さんは、親の負担軽減と子どもの自立促進には、過剰な支援を適切な支援に変えることが重要だと考えています。「障害があってもなくても、個々の人が自分らしく生きられる社会を創造する」をビジョンに掲げ、社会全体で支援構造を作り、発達障害の課題に取り組む重要性を訴えました。

◆ 伴 大輔(TherapEase 代表 / 作業療法士)

テーマ:高齢者施設への「遠隔生活リハビリテーション」サービス

TerapEaseの伴さんは、高齢者向け遠隔リハビリテーションサービスの開発に取り組んでいます。高齢者がやりたいことを諦めざるを得ない現状に対し、最後まで希望を持ち続けられる社会を目指しています。「生活リハビリテーションを提供し、全ての人が豊かな生活を送るための選択肢を創造する」をミッションに掲げ、今後さらに事業を展開する予定です。

鶴田 桂子(株式会社BANSO-CO 代表取締役 / 弁護士)

テーマ:メンタルヘルス不調を予防できるサービス開発

BANSO-COは、「誰もが日常の中で心のケアをすることが当たり前になる社会を実現したい」という想いで、メンタルヘルス不調の改善と予防を推進しています。これまで適切なケアを受けられず生活に支障をきたしていた方々が、専門家の必要性を認識し、アドバイスを求めて活用することで、自分の人生を自律的に進められるよう支援します。これにより、本人、家族、コミュニティ全体が幸せになることを目指しています。

◆ 高山 耕輔(株式会社EightLab 代表取締役 / 柔道整復師)

テーマ:既存の健康経営支援サービス(セラピストの企業派遣)のデータを活用したビジネス構築

EightLabの高山さんは、「働く人の健康を当たり前に」をミッションに掲げ、従業員の健康問題を解決し生産性を向上させるサービスを提供しています。従業員の健康意識を高め、行動の変化を促すことを目指しており、健康状態をデータで把握し、企業にフィードバックする仕組みを構築しています。これにより、従業員の体調不良による生産性低下や医療費の増加といった社会課題の解決を目指しています。

◆ 大平 智祉緒(株式会社RingsCare 代表取締役 / 看護師・保健師・助産師)

テーマ:心と外見のケア(訪問型化粧ケア)サービスの開発

RingsCareは、「病気や障害があっても自分らしく美しく生ききれる社会を実現する」というミッションを掲げ、看護とメイクセラピーを組み合わせた独自のケアサービスを提供しています。医療や介護が必要になると「キレイ」を諦めざるを得ない現状を変え、自分らしく生き、自分らしく最後を迎えられる社会を目指しています。RingsCareの訪問型化粧ケアは、利用者の表情や行動にポジティブな変化をもたらし、高い満足度を得ています。


6)講義「課題・解決策フィット」
講師:大久保亮(株式会社Rehab for JAPAN)

大久保さんが代表を務める株式会社Rehab for JAPANは、「介護に関わるすべての人に夢と感動を」をビジョンに掲げ、エビデンスに基づいた科学的介護の実現を目指すスタートアップです。今回は、「課題・解決策フィット」をテーマにお話をいただきました。


講義では、ビジネスを成長させるための課題定義の重要性に加え、インパクト起業家として成長していくために大切なマインドセットについても強調されました。医療・介護の「専門職」から「起業家」になることは、大きな転換であり多くの挑戦が伴いますが、それは成長の機会でもあります。起業家として重要なのは、「大切にしたい価値観をしっかりと持ち、自らの成長を追求すること」というメッセージとともに、詩人・高村幸太郎の「道程」を引用し、自分の力で新たな道を切り開くことの大切さが伝えられました。

企業の成長においては、創業期の課題設定がとても重要です。以下の4つのステップが紹介されました。

  1. 顧客課題の特定
    顧客が誰であり、その課題は何かを明確にします。なぜ今なのか、報酬改定等の業界ルールや習慣の構造的変化についても考えます。
  2. 問題点の抽出
    緊急性や必要性、経済価値や頻度などについて考えます。
  3. 顧客の代替手段
    顧客、決済者、行政など、さまざまな視点から考えます。
  4. 提供価値
    自分たちのサービスが選ばれる理由(ソリューションフィット)、お金を払ってでも使いたいサービスなのか(プライシングフィット)などを検討します。


また、支援者となる人々の早期獲得の重要性についても触れられました。ヘルスケア業界に対する深い理解や課題解決への想いを持つベンチャーキャピタリストなどに早期に入ってもらうことで、創業期の課題解決がスムーズに進むことが過去の経験から語られました。

最後に、「専門職から起業家へと成長する過程はとても苦痛を伴いますが、それを受け入れ、反省を繰り返すことで必ず強くなれます。成功への道を目指し、一緒に頑張りましょう」と熱いエールが送られ、講義が締めくくられました。


7)懇親会:BBQ・焚き火

懇親会では、BBQと焚き火を囲み、美味しいお肉やお酒とともに、参加者、メンター、スタッフが交流を深めました。起業に関する熱い話題や、日頃の悩みの共有など、様々な会話が繰り広げられました。普段はなかなか話せないことも、お酒と炎の力により引き出されたようでした。


高尾山の麓という非日常空間で、楽しい思い出を作り、一体感を感じることのできた2日間のノット合宿。これから6ヵ月間、起業家はメンターとともに課題解決の実現に向けて歩んでいきます。

ノットプログラムは、現場の課題感とヘルスケアビジネスをつなぐべく発足した起業家育成プログラムです。ビジネスサイドの方には医療現場を、医療職の方には事業作りのノウハウを提供しながら、ヘルスケア領域における課題解決を行い、しっかり儲ける「インパクト起業家」を育成します。

プログラムの様子は、本サイト内で適宜配信していきます。また、キャピタルメディカ・ベンチャーズのTwitterや、おうちの診療所のTwitterでもプログラムの様子は配信していきますので是非合わせて御覧ください。

次回の定例会は、6月18日にオンラインで行います。今後のReportも、お楽しみに….!


【撮影=ひろし】
【取材・執筆=河村由実子】