インパクト屋台・投資家トークセッション|HVK2023開催報告

  1. HVK2023

Healthcare Venture KNOT 2023、コミュニケーション会場の「インパクト投資」をテーマとした屋台では、インパクト投資家のゲストをお招きしてスモールトークセッションが行われました。

今回、初の試みとしてゲストと参加者や参加者同士がつながれる場をつくるために設けられたコミュニケーション屋台会場。ドリンク片手にゲストと参加者が間近で話せる屋台会場だからこそ聞ける”ここだけの話”が飛び交います。本記事ではインパクト投資家たちが語るリアルな実態が垣間見えるトークセッションの内容をレポートします。


インパクト屋台トーク1】インパクト投資家トークセッション

Healthcare Venture KNOT 2023
開催日時:
11月18日 13:00~14:00
会場:コングレスクエア日本橋
主催:キャピタルメディカ・ベンチャーズ、おうちの診療所 presented by 東京ウェルネスインパクトファンド

【登壇者】
山中 礼二|KIBOW社会投資ファンド 代表パートナー/グロービス経営大学院 教員
秦 雅弘|GLIN Impact Capital 代表パートナー

【司会】後町陽子|株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ マネジャー

登壇者紹介

山中 礼二|KIBOW社会投資ファンド 代表パートナー/グロービス経営大学院 教員

キヤノン株式会社で新規事業の企画・戦略的提携に携わった後、グロービス・キャピタル・パートナーズでベンチャー企業への投資と経営支援を担当。その後、医療ベンチャーのヘルス・ソリューション(専務取締役COO)、エス・エム・エス(事業開発)を経て、2013年よりグロービスに復帰。2015年、社会起業家向けのインパクト投資を行うKIBOW社会投資ファンドを設立。

秦 雅弘|GLIN Impact Capital 代表パートナー

三菱商事で事業会社の経営再建に携わった後、ブラジル駐在を契機にサステナブルファイナンスに興味を持ち、ハーバードビジネススクールへ留学。インパクト・ESG投資に関する知見を深め、Anzu Partners(米国VC)やJAFCOで経験を積んだ後、GLIN Impact Capitalを共同創業。インパクト志向金融宣言におけるVC分科会座長や環境省のClimate Techインパクト評価・マネジメントに関する検討会の委員も務める。


そもそも投資先企業ってどのように見つけているの?

屋台トーク、最初のテーマはスタートアップ投資における最初のプロセスである「ソーシング活動」。投資先を見つけるためのこの重要な活動について、インパクト投資家であるゲストの2人は、どのような視点で取り組んでいるのか伺いました。さまざまな手法がある中で代表的なもののひとつが「自分たちが投資対象としている投資ラウンドの前のステージを対象としているベンチャーキャピタルからの紹介です。これはインパクト投資に限らないことですが、共通の領域に投資をしている他の投資家や投資ポリシーが近いベンチャーキャピタルと情報交換をしたり、連携することはよくあることです。また、「社会課題を扱うメディアから情報収集をしている」「社会課題解決をテーマにしたアクセラレーションプログラムを確認する」などの方法も語られ、インパクト投資ならではの情報源にアンテナを張ってソーシングしていることが語られました。


投資判断はここを見る!

シード期のスタートアップに投資する場合、まだ売上がない段階で行うことが多くあります。参加者から「売上がない状態で、投資を決定する時どのような視点で見ているか?」とゲストに質問が投げかけられました。

山中氏と秦氏が共通して挙げたのは「人(起業家)を見る」ということ。具体的には、「社会課題に対しての本気度」や「創業に至るまでの起業家のストーリー」、また「転んでも学び、立ち上がって進む力」、「会話の中での思考プロセスが論理的か」などを対話の中から見出し、判断するための材料にしています。

これに関連して、「創業期の起業家が事業以外に他の仕事や研究等を兼業することについてどう考えるか?」と参加者から質問があがり、兼業の現場での知見等が事業に生かせる場合はポジティブに捉えるケースもあることが伝えられました。


投資後の投資先支援はどんな支援を行うの?

山中氏が勤めるKIBOW社会投資ファンドと秦氏が勤めるGLIN Impact Capitalでは、投資先に対して様々な経営支援を提供しています。山中氏は「定期的に取締役会へ参加し、経営に足りていないものを補填する」「緊急を要する事態や資金調達などの際も、起業家と並走する」などの例を説明。秦氏は「インパクトやESGに関するコンサルタントのような動きをすることが多い」と話し、たとえば事業とインパクトの関連性を整理した上で、インパクトを測定・改善・開示するご支援をしたり、、そのインパクトに共感する投資家や優秀人材を紹介するなどの支援を実施しています。両名の自身の投資先を思い浮かべながら語る姿から、経営に入り込んだ手厚いハンズオン支援を実践している様子が窺えました。


まとめ

インパクト屋台会場では、その他にも「社会的インパクトをどのように測るのか」や「スタートアップ企業に投資後、投資先の業績が伸びない時はどうするか」など多くの質問が飛び交い、盛り上がりをみせました。司会の後町は「ヘルスケアとインパクト投資の相性はとても良い」と説明し、「このブースで、多くの方が関心を持っていただけていることに感謝しています」と締めくくりました。

本記事では「Healthcare Venture Knot 2023」のインパクト屋台トーク「インパクト投資家トークセッション」の様子をお伝えしました。参加者から質問が活発に投げかけられ、普段なかなか聞くことのできないゲストのざっくばらんなトークが引き出された空間となりました。これからも社会課題の解決に向け、みなさんとともに取り組んでいきたいと思います。

イベントにご参加いただきました皆様、ありがとうございました。