【第1回Knot Program】若手起業家大集合!事業ビジョンとミッションの考え方を学ぼう

  1. Knot program


この記事を読んでいるあなたは、今の医療体制や職場環境、来たる2025年問題に向けて一念発起をお考えでしょうか。この度、そんな熱意を爆発させる実践型起業家育成プログラム「Knot Program」の1回目の定例会が、2022年4月20日に開催されました。

当プログラムは、ヘルスケア領域における様々な課題を起業によって解決するというもの。集まったのは新進気鋭の6組の医療者たち。約8ヶ月間にわたるプログラムの初日に、彼らはどのようなビジョンを掲げたのでしょうか。事業構想と「セオリーオブチェンジ・ロジックモデル」に基づいた考え方についての講義内容も合わせてご覧下さい。


イベント情報

実践型起業家育成プログラム「Knot Program」第1回定例会
主催:株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ、オンラインコミュニティSHIP

日時4月20日(水) 19:00〜20:30
イベント内容参加者による事業ビジョンの発表・講義
講義内容「セオリーオブチェンジ・ロジックモデル」
参加者<講師>
青木武士氏(株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ)
石井洋介氏(株式会社Omniheal)

<発表者> ※発表順
1) A氏(皮膚科医) 
2) 畔原篤氏(薬剤師│公衆衛生学修士)
3) 古田泰之氏(PreMed株式会社CEO│脳神経外科専門医・脳血管内治療専門医)
4) 高木大地氏(株式会社Cone・Xi代表取締役│看護師)
5) B氏(薬剤師)
6) 氏家氏(株式会社Plusbase COO)   

<司会進行>
河村由実子(株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ)  


「あなたのビジョンを語ってください」6組の若手起業家が熱弁!

「ヘルスケア領域に関わる様々な課題を解決しよう」と6組の若手起業家たちが名乗りを挙げました。各々の領域で医療者として活躍する彼らは、何を思い、何を選択し、何を行っていくのか。

定例会初日の今回、それぞれの思いの丈を詰め込んだ緊張感と熱量あふれる発表内容をご覧ください。

「私は怒っています。今の医療に怒りを感じています」セルフメディケーションの発展

トップバッターは、「私は怒っています」と口火を切った皮膚科医Aさん。現状の医療への怒りを原動力に、診療を重ねる中で解決の糸口に気が付きます。それは、患者さんの選択肢を増やすこと。

医療者だけに依存するのではなく患者さんが自立して医療を受けられる体制を整えるため、セルフメディケーションの分野における事業展開を考えます。今後、Aさんがどこに焦点を当てていくのか、わくわくしますね。

「在宅医療と薬局の橋渡し」マッチングサービスの発表

在宅医療と薬局の結びつきについて課題を感じているのは、薬剤師の畔原さん。地域包括医療が重要視されている中で薬局の役割が活かしきれていないとのこと。

「それぞれの薬局の強みを可視化し地域とマッチングすれば、最適な医療・介護サービスを受けられるのではないか」との主張に、参加者からも「なるほどなー」「わかるー!」と共感を得ました。「1年後にマッチングサービスを発表したい」と具体的な構想を発表いただきました。

「無駄のない最適な医療を」PHRを社会実装して医療のアップデートを図る

今年2月にスタートしたばかりながら、心強いチームと着実な一歩を踏み出しているのは、PreMed株式会社CEOであり、脳神経外科医の古田さん。

「患者さんの状態や病期に合わせた医療体制が整っていない」と、課題に感じているとのこと。その切り口としてPHR(パーソナルヘルスレコード)に着眼し、個人のデータを効率よく診療に活かす仕組みをマーケティング思考で生み出そうとされています。

一同関心を寄せる難しい課題への挑戦に、目が離せません!


「在宅で最期を」利用者に適切な訪問看護とオペレーションシステムの構築

「在宅で最期を迎えたい」という利用者はなんと70%。そんなニーズに対し、個人にあった訪問看護スタッフを派遣するシステムを作りたいと走り出したのは、株式会社Cone・Xi代表取締役であり看護師の高木さん。

これまでケアマネージャーが担っていた事業所との連絡をIT化するにあたり、マッチングが進みにくかったとのこと。病院から訪問看護事業所への最適かつスムーズな移行に向けて、オペレーションシステムの構築を目指します。

肌身で感じた課題をどのように解決していくのか楽しみですね。


「アナログな医療連携をどうにかしたい」薬剤師が生き生きと参加できる地域医療を

「クリニックと薬局の連携が未だにアナログすぎる」と話すのは薬剤師のBさん。調剤薬局歴10年とオンライン診療事業の経験から、地域医療と薬局の連携をDXすれば、より薬剤師が治療に参画できると笑顔でビジョンを掲げました。

スタートアップしたチームと協力して1年以内にサービスのリリースを目指すと、意気込まれています。


ナースの心を守りたい「医療界に特化型のメンタルケア技術を作る」

「看護師の54%は抑うつ傾向なんです」と、医療界のメンタルヘルスの深刻な状況を主張した株式会社Plusbase COOの氏家さん。

共同開発者で看護師のサクラさんの原体験をもとに発足した本サービスは、医療者にメンタルケアの技術を作り浸透させたいという思いから始まりました。臨床現場にとどまらず、看護師がかかわる様々なタッチポイントにアプローチし、医療界の働き方改革に挑みます!

起業を伴走!大切なのは徹底的な課題定義と自己理解

Knot Programでは、講義を通して参加者の皆さんを伴走してまいります。ここからは、その講義の内容についてお伝えします。

【講師紹介】

青木武士氏
株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ 代表取締役

造船会社でバイオマス発電事業等に携わった後、ソフトウェア開発会社を経て、(株)エス・エム・エスにて事業開発に携わりM&Aやインキュベーションプログラムの運営を行う。また、訪問看護ステーションの設立・運営など医療・介護現場のオペレーション経験も有する。その後、株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズを立ち上げ、ヘルスケア領域に特化したVCファンドを組成し、スタートアップ投資を実施している。

石井洋介氏
株式会社omniheal代表取締役 / SHIP運営代表

2010年高知大学卒。消化器外科医として手術をこなす中で、大腸癌などの知識普及を目的としたスマホゲーム「うんコレ」の開発・監修、「日本うんこ学会」の設立を行う。厚生労働省医系技官や経営コンサルタント等を経て現職。おうちの診療所目黒、秋葉原内科saveクリニックにて共同代表を務める。著書に『19歳で人工肛門、偏差値30の僕が医師になって考えたこと』(PHP研究所、2018年)など。


今回、様々な事業ビジョンが発表されましたが、課題をチームで解決していくにはセオリーオブチェンジやロジックモデルの考え方がとても参考になるのだとか。

講師の青木さんは、「現状把握できてますか?課題は本当に合っていますか?自分のことを理解できていますか?なんでそれをするのですか?」と究極の質問を投げかけます。この土台がなければ、ターゲットやニーズを取り違え、空振りとなってしまうのです。

さらに、ターゲットやニーズ、課題に関する外部環境、ライバルに対しても明確な分析が必要とのこと。それらを整えながらPDCAサイクルをタイミングよく回すことが重要です。

これから新規事業の立ち上げまたは事業拡大を目指す参加者に向けて、「まずは『なんのために取り組むのか』という土台を積み上げていってほしい」と青木さん。

「原体験をもとに掲げたビジョン、核燃料を燃やし続けて欲しい」と同じく講師の石井さんからメッセージをいただきました。



定例会のまとめと参加者の感想

今回、6組の若手起業家の皆さんに事業ビジョンについて発表いただきました。それぞれの原体験をもとに、「これから頑張っていきたい」「私が解決するんだ」という熱い思いが寄せられ大盛況でしたね。

参加者の方からは講義の後、次のような感想をいただきました。

「皆様と学びを深められることを楽しみにしております」
「自分たちの立ち位置を明確にする作業が疎かになっているなと改めて思いました」
「考えつくさないといけない内容が多いので、焦っています」
「現状を正しく理解し、理想とする世の中についても再度考えてみます」


不安もありつつ、次のステージに進もうと前向きなチャレンジが窺えます。さらに、彼らを応援するためにメンターが伴走者として参加します。「なんのために取り組むのか」、一緒に課題を深堀していきましょう。


次回の定例会は5月18日(水)、内容は課題の深堀と価値創出についてです!



プログラムの様子は、こちらのサイト内で適宜配信してまいります。また、キャピタルメディカ・ベンチャーズのTwitterや、SHIPのTwitterでもプログラムの様子は配信していきますので合わせて御覧ください。

【文=川村みさと】