【第2回 Knot Program】良質な課題を見つけるには?トライ&エラーを繰り返せ!「量から質は生まれる」

  1. Knot program


先月、血気溢れるスタートラインを切ったKnot Program。その2回目の定例会が5月18日に開催されました。参加者の皆さんの「なんとか課題解決の糸口を掴みとろう」とする前のめりな姿勢がとても印象的でした。

今回のテーマは「課題の深堀りと価値創出」。前回の定例会から約1ヶ月、様々なアドバイスを受けた参加者の方々にはどのような変化がみられたのでしょうか。講師・木野瀬友人氏による精到な講義内容もあわせてお伝えします。


【イベント情報】

実践型起業家育成プログラム「Knot Program」第2回定例会
主催:株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ、オンラインコミュニティSHIP

日時5月18日(水) 19:00〜20:30
イベント内容参加者による「課題の深堀りと価値創出について」の発表・講義
講義内容「課題の深堀りができる人のマインドセットを習得する」
参加者<講師>
木野瀬友人氏(ハイズ株式会社、株式会社エアトランク、株式会社omniheal)

<発表者> ※発表順
1) 畔原篤氏(薬剤師│公衆衛生学修士)
2) 高木大地氏(株式会社Cone・Xi代表取締役│看護師)
3) B氏(薬剤師)※1
4) A氏(皮膚科医)※1
5) 古田泰之氏(PreMed株式会社CEO│脳神経外科専門医・脳血管内治療専門医)
6) 氏家氏(株式会社Plusbase COO)※2

※1:第1回定例会と同様の匿名表記と致します。  
※2:当日欠席、課題のみ提出いただきました。

<司会進行>
河村由実子(株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ)


【講師紹介】

木野瀬 友人氏

2007年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了、2019年デジタルハリウッド大学院デジタルコンテンツ研究科修了。2005年に開発会社である株式会社エクストーンの前身となる企業を創業し、ニコニコ動画の運営母体である株式会社ニワンゴの創業を経て現職。ハイズの病院経営コンサルティングにおいては「ITに弱い病院の助けになりたい」という考えのもと病院インフラの更改を担当。現代の技術の恩恵が得られない医療現場に対して、コンピューティングの視点から業務のスマート化を推進。慶應義塾大学総合政策学部卒業後に当時2ちゃんねるの管理人の西村博之と、ドワンゴの会長の川上量生とともに株式会社ニワンゴを創業。事業アイデアの実現担当として企画からコーディングまでを行う。


顧客視点に立った課題と価値創出とは? 3つのキーポイントから徹底的に深掘りしよう

事業をつくる際に成功のカギとなるのは、展開するプロダクトやサービスが顧客の欲しいものとマッチしているかどうかです。そのニーズに応えるためにまず試すべきことは、課題の設定と深堀り。

約1ヶ月間、参加者の皆さんは事業の仲間やメンターとともに色々な発想を広げてきました。しかし、顧客視点に立った価値創出については発展途上。では一体どのようにして糸口を探っていけば良いのでしょうか。発表と講義のなかから特に印象的だった3つのキーポイントをお伝えします。

(1)真の競合を特定し、選ばれる理由を徹底的に分析せよ

発表の中でまずキーワードになったのは「競合分析」。医療業界に身を置く私たちは、同じ業界における前例については分析しやすいでしょう。しかし、ライバルとは果たして医療業界だけなのでしょうか。ヘルスケアという括りだけでも膨大ですし、プロダクトの性質においては他業種にも視野を広げる必要があります。

例えば、発表でも取り上げられた業務管理ツールを作成するという場合。お金をかけずに作るならエクセルで事足りますし、かの有名なNotionやTrelloなどの優秀なタスク管理アプリが存在します。つまり、そのプロダクトが「どのような業種の」「どのような人に」「どのような理由で」選ばれているのかなどを詳細に分析することが事業展開の第一歩目といえるのです。

(2)良質な課題発見には “適切な対象” へのリサーチが不可欠

今回発表者の皆さんは、悩みを抱えているであろう医療現場の方々にヒアリングし、課題を掘り下げてきました。課題設定やソリューション(解決策)の価値を見出す上で現場の生の声は非常に重要です。しかし、一歩先を行く良質な課題の発見には適切なリサーチ対象に絞ることが必要不可欠です。

つまり闇雲に100人に聞くことを目指すより、課題に関して圧倒的な情報を持つ1人へのヒアリングに注力することの方が有意義なのです。もちろん、最初は誰に聞けばいいかなんて分かりません。自分で足を運んでリサーチするなかで、「この人の悩みを解決しよう」という着眼点を見つけていきましょう。

そして、悩んでいる人の視点をしっかり理解します。探る時間をどれだけ捻出できたかが、プロダクトの価値の明暗を分けるといっても過言ではないのです。

(3)実証実験を繰り返せ!失敗を恐れず試行するのみ

ここで競合分析・リサーチを基に課題が見つかり、自分が展開したいプロダクト・サービスの形を考えてみたとしましょう。では、実際うまくいくのか、必要とされるのか、適切な価格設定になっているのかどうか。それを証明する方法は実証実験に他なりません。

人がお金を払ってでも欲しくなるような価値を創出するには、詰まるところ実験と失敗を繰り返し経験するしかないのです。皆さんが医療現場で得た代え難い経験を活かすには、早く机上から脱却して現場で試すことが近道ということでしょう。

【まとめ】

刺激的な定例会を終えて……参加者から自然と発せられた次の行動に向けた発信の数々


今回の定例会では『ニコニコ動画』の開発メンバーの1人である木野瀬友人氏を講師にお招きし、新規プロジェクトを立ち上げるプロセスやマインドセットについてお話いただきました。木野瀬さんの飾らないストレートな言葉は、参加者の皆さんの覚悟を引き締めます。

しかし、厳しい指摘のなかには、起業ビギナーにありがちな『失敗を恐れるマインド』を打ち払おうとする応援メッセージがちりばめられていました。「私もいっぱい失敗しました」「やってみたらいいですよ」「失敗して量をこなして良質な課題は生まれます」と……。

定例会後、参加者の皆さんからは次のような学びや感想をいただきました。

「行動なくして考えるだけでは無意味!実際にサービスを提供して成り立つかどうか検討します。」
「Deep Diveアンチパターン(事業の失敗につながりやすい行動事例)を見て、心が痛い。PC壁紙にしたいくらい頷いた」
「他業種にもアンテナを張り、仮説を立ててトライアルする。」


今後、起業ビギナーの皆さんに課せられたのは、もう一度『ゼロベース』で考えること。さらに課題に対してどれだけ時間をかけられるかということです。

今後、Knot Programはさらにプロセスが進みます。

次回の定例会は6月15日、テーマは市場分析についてです。自分が作りたいプロダクトの市場規模や価格設定の具体的なに試算にトライしていきましょう!

定例会終了後の懇親会の様子



プログラムの様子は、こちらのサイト内で適宜配信してまいります。また、キャピタルメディカ・ベンチャーズのTwitterや、SHIPのTwitterでもプログラムの様子は配信していきますので合わせて御覧ください。

【文=川村みさと】