HVK2019開催レポート

  1. HVK2019

2019年10月26日、快晴の中ベルサール御成門で開催されたヘルスケアベンチャーノット2019。今年も株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ(東京都港区、代表取締役:青木 武士)とSustainable Healthcare Incubation Park(株式会社omniheal運営、運営代表: 石井 洋介、以下「SHIP」)の主催で開催されました。

続々とヘルスケア領域に関心のあるビジネスパーソンや、医療専門職が集合し賑わいを見せました。

1アイデアピッチ「スーパーノヴァ」

第一部はまだビジネスにはなってないけど、これから一歩を踏み出そうとしているアイデアの段階をブラッシュアップするために豪華な審査員を揃えて開催されたアイデア部門、通称「スーパーノヴァ」部門。

総数20組以上から2次に渡る審査をクリアした4名が決勝のピッチ部門に立ちました。


河村 由実子/リハノワ〜自助から繋げる互助への連携~
清水 なほみ/なぜ「街の保健室」が必要なのか?
伴 大輔  /訪問リハとテクノロジー
山田 達也 /グラム染色を世界の医療機関に広げ、抗菌薬の適切な使用をすすめる

それぞれが思いの丈を会場にぶつけました。

審査員という名のメンター陣は多くのプロダクト開発に関わってきた現役プレイヤーたち。

鋭いフィードバックによりアイデアが洗練されていきます。

スーパーノヴァ部門豪華メンター陣

参加者の中でひときわ会場をわかせたのが、まだ医学生で実習の中で感じた課題をプロダクトにされた山田さん。

アイデアでとどまらずプロトタイプを、プログラミングと機会工作を自分で学び実装してしまいました。更にはすらっとした出で立ちに審査員からも「色々と飛び出していて嫉妬する」とコメントも飛び出し、最優秀賞を獲得しました。

他の参加者にとっても大変貴重な経験になったと後日談があり、ここから新たな起業家が生まれていく予感がある閉幕でした。

2.アーリー部門

すでに起業はしたけど、まだ大型投資前のアーリー部門のビジネスコンテストが第二部でした。

最優秀賞者にはSHIP無料加盟権/キャピタルメディカ・ベンチャーズが運営するファンドからの出資(最大500万円)が授与されるということで、こちらも20名近くの応募の中から最終決戦に残った4組が以下のみなさま。

株式会社ゼスト 伊藤 由起子/在宅医療の人手不足をHackする☆ZEST
アトピヨ Ryotaro Ako/日本初の”アトピー見える化アプリ”アトピヨ
株式会社ファーマクラウド/医薬品流通の非効率を無くす
株式会社エブリ・プラス 佐藤 亜以/介護施設と外の世界を繋ぐSaaS型プラットフォーム“レクリエーションマッチングサービス”

アーリー部門登壇者

どれも医療・介護の課題を適切にとらえプロダクトやサービスの実装・運営を行っている企業ばかりで、審査もとても白熱し、審査員のみなさまからも「非常に難しい選考だった」とコメントあり。

最優秀賞には、訪問看護・診療のルートを最適化する機器を実装したZESTの伊藤さんが獲得することになりました。起業家になり30年以上立っている伊藤さんも「登壇の際に一瞬頭が真っ白になりコメントがでなくなった」というような緊張感の高い決勝となりました。

他の3組にも称賛の声が送られました。

3.スタートアップが切り開く希少疾病医療の可能性~ALS治療の現場から

一般的に希少疾病医療などは巨額の研究費がかかることなどから、国を挙げて産官学が連携し・・・となるところですが、実際にはなかなか研究が進みにくいところもあり、アカデミアや企業を飛び出してバイオベンチャーを立ち上げる方々も最近では多く立ち上がっているとのこと。

今回は、そんな「希少疾病医療」をテーマにしたパネルディスカッションを企画。小山宙哉氏による大人気漫画『宇宙兄弟』から派生した、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の治療研究費を支援する一般社団法人 せりか基金より、代表の黒川 久里子さんがモデレーターとして登壇していただきました。
パネリストにはALSの当事者として鷹和合同会社 代表の真下 貴久さんが登壇。当事者とヘルスケアスタートアップがそれぞれの視点から希少疾病領域において「本当に必要なヘルスケアサービスとは何か」を本音でお話いただきました。

希少疾患の関する機序の説明とその開発のお話では、全員が??となる瞬間もありましたが、厚生労働省の医系技官である桑原さんの解説などもありとてもわかり易く、現在のALS治療の最先端とその課題が共有されました。

ヘルスケアベンチャーノットの趣旨として「医療者とベンチャーをつなぐ」ことを目的としています。

現場感のないプロダクトやサービスは絶対に上手くいかないと言われますが、プロダクトの現場にいるとなかなか医療者の現場感が薄らいでいってしまうものです。多くの医療職・起業家が参加された会場でクロストークが行われ、両者の架け橋になるような時間になりました。

締めのご挨拶はビジネスコンテスト優勝の伊藤さん。

今後もこういう時間を大切に、日本を変え、世界を変えるようなヘルスケアスタートアップが誕生することを夢見て、引き続き運営一同開催をしていきたいと思いました。