2026年6月27日から28日にかけて、東京都八王子市高尾町にて実践型インパクト起業家育成プログラム「Knot program(ノットプログラム)2026」の合宿が開催されました。
当日の八王子は、2つの台風の影響もあって雲が広がり、すっきりしない梅雨空となりましたが、会場となったタカオネの内部は全国から集結した5名の起業家たちの圧倒的な熱気に包まれていました。起業家たちは「事業紹介と現状課題ピッチ」➔「仮説検証計画レビュー」➔「最終ピッチ」という計3回のピッチと質疑応答を経て、担当メンターとともに「4か月間の仮説検証計画」を極限まで研ぎ澄ませていきました。本記事では、濃密な2日間の合宿の様子をお伝えします。

【合宿概要】
- プログラム名: 実践型インパクト起業家育成プログラム「Knot Program 2026」合宿
- 運営: 株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ、おうちの診療所
- 日程: 2026年6月27日(土) 〜 6月28日(日)
- 開催場所: タカオネ(東京都八王子市高尾町)
【参加起業家およびビジネスプラン紹介】
平井大輝氏(株式会社CLACK 代表取締役)
シングルマザー・子育て女性の就労課題を解決する訪問医療・看護向けBPOプラットフォーム
宗大貴氏(株式会社医伝士 代表取締役)
在宅医療専用のAI記録支援・多職種連携ツール「kowairo」
堀田一希氏(株式会社BabuuTalk 取締役)
在宅向け、遠方からでも無理なく続けられる「AI赤ちゃんを介した見守り・対話アプリ」
臼居航氏
電話とFAXの連絡・調整をオンラインに。介護施設の集客支援とケアマネの施設探しの手間を無くす、在宅介護検索・連絡プラットフォーム
守安巧氏
熱中症高齢者の三次予防に向けた地域ケアモデルの構築
【合宿タイムスケジュール】
| 日時 | スケジュール・内容 |
|---|---|
| Day 1 (6/27) | 13:00 オープニング 13:10 チェックイン(今の気持ち、意気込みの共有) 13:20 事業紹介および課題ピッチ(3層の壁の整理) 15:30 ワーク:4か月間の仮説検証計画作成 17:00 ワーク:大切にしたい自身の価値観 18:00 テラス席でBBQ懇親会 20:00 焚き火を囲んで談話 22:00 フリータイム |
| Day 2 (6/28) | 07:00 朝食 07:50 体操(全員で体を動かし、脳をリフレッシュ) 08:00 仮説検証計画レビュー 09:30 仮説検証計画のブラッシュアップ(ワールドカフェ形式) 10:30 ワーク:最終ピッチに向けた計画のブラッシュアップ・発表準備 11:30 最終ピッチ:4か月間の仮説検証計画 12:45 チェックアウト(2日間の総括、感想、学びや気づきの共有) 13:00 終了 |
1)オープニング&チェックイン:それぞれの意気込みを胸にスタート


合宿の冒頭、プログラムを主催するキャピタルメディカ・ベンチャーズ 代表取締役の青木氏、おうちの診療所 院長の石井氏から、合宿の目的説明や目指すべき最終成果物のフォーマットが提示されました。続くチェックインでは、今回の合宿に向けた今のリアルな気持ちや意気込みを一人ずつ言葉にし、会場の士気を高めて濃密なプログラムがスタートしました。
2)自身の事業紹介と課題の構造整理
午後最初のセッションは、起業家5名による「自社の事業紹介および課題ピッチ」です。ここでは単なる会社紹介にとどまらず、ビジネスで直面する「3層の壁」である ①マクロ(制度・法)、②メゾ(文化・業界構造)、③ミクロ(現場の負担)の視点から、自身の事業がどこに課題を抱えているのかを浮き彫りにしていきました。
平井大輝氏(株式会社CLACK)
テーマ:シングルマザー・子育て女性の就労課題を解決する訪問医療・看護向けBPOプラットフォーム

自身の原体験から、シングルマザー・子育て女性の働き方の選択肢を作る事業を推進。スマホ完結型の学習とキャリア形成をセットにした一貫支援を通じて、ITツールを使いこなし現場の改善を先導できる「DXの旗振り役」として育成し、課題解決に取り組む重要性等が熱く議論されました。
堀田一希氏(株式会社BabuuTalk)
テーマ:在宅向け、遠方からでも無理なく続けられる「AI赤ちゃんを介した見守り・対話アプリBabuuTalk」

理学療法士として6年間介護現場に携わってきた原体験から、「リハビリや介護は手段であって、何のために生きるかという目的が欠落している」という決定的な違和感を抱き、高齢者の生活意欲を根底から変える「家族とのつながり」を取り戻すためにプロダクトを立ち上げました。「見守り」を前面に出すと拒否反応が起きるため、自然なコミュニケーションへ移行させることの重要性などが議論されました。
宗大貴氏(株式会社医伝士)
テーマ:在宅医療専用のAI記録支援・多職種連携ツール「kowairo」

医師として在宅医療の現場に立つ原体験から、訪問看護を起点とした連携コミュニケーションのプロダクトを開発。医療従事者個人の『「志」』や『「情熱」』だけに依存せず、誰もが患者の人生に向き合える世界の構築、またルーチン業務を極限まで圧縮することで、人と人とが本当に向き合うべきことにリソースを集中させるという、DXの本質的な価値について熱い議論が交わされました。
臼居航氏
テーマ:電話とFAXの連絡・調整をオンラインに。介護施設の集客支援とケアマネの施設探しの手間を無くす、在宅介護検索・連絡プラットフォーム

介護施設向けセンサー販売の経験から、より深刻な課題が眠る在宅介護領域に着目して事業を構想。ショートステイ等の空き状況確認・予約業務が、未だにファックスや電話に依存しており、ベテランのナレッジが引き継がれず情報の断絶が起きている現状に強い課題意識を持っています。しかし、長い間、構造が変わっていない現状から、効率化という正論だけでは動かない、リアリズムのある戦略の重要性が議論されました。
守安巧氏
テーマ:熱中症高齢者の三次予防に向けた地域ケアモデルの構築

温暖化と高齢化が進行する中、熱中症による独居高齢者の重症化や孤独死という深刻なマクロの課題に向き合う事業を考えており、AIによる記録支援とリスク分類によって訪問数を最大化し、本当に助けるべき層へリソースを集中させるプロダクトを検討。家族や地域コミュニティを巻き込んでいかに「行動変容を促す仕組み」を構築できるかという、行動科学的アプローチの必要性について、メンター陣を交えた非常に深い論点が交わされました。
3)4か月間の仮説検証計画作成に着手:メンターとの二人三脚で課題を徹底的に深掘り
最初のピッチに対するフィードバックコメントや鋭い問いかけを受け止め、ここから本格的なワークへ突入します。各起業家は担当メンターと正面から向き合い、二人三脚でディスカッションを重ねながら、「事業を通じて、誰の何の課題を解決するのか」「なぜ、その課題は解決されずに放置されているのか」といった課題の構造を整理することで解像度を高め、「4か月間の仮説検証計画」の作成に着手しました。単なる絵に描いた餅のスケジュールではなく、「本当にそのアプローチで現場のペイン(痛み)は解決するのか」「アウトカムの検証指標は何にするのか」について、ディスカッションが熱く繰り広げられました。





4)価値観ワーク:言葉のカードから紡ぎ出す、起業家としての「原点」

思考をフル回転させたワークの後、夕方からは一転して内省を深める「他人の価値観を知りながら、自分の価値観を知る」ワークショップが開催されました。用意された数多くの価値観が書かれた言葉のカードから、自分が人生や事業において「大切にしたいカード7枚」まで絞り込み、それぞれが選んだ理由を共有し合うことで、「なぜ自分がこの社会課題に挑むのか」その原動力やバックボーンを互いに深く理解し共鳴し合う、極めてエモーショナルな時間となりました。
5)BBQ懇親会&焚き火:梅雨空を吹き飛ばす、テラスの本音対話
夜はテラス席へと移動し、待望のBBQ懇親会がスタート! あいにくのすっきりしない空模様ではありましたが、そんな天気を吹き飛ばすかのように、美味しいお肉とお酒を片手に会話が弾みました。中盤からは席替えもして垣根のない交流を楽しみました。



さらに夜が更けてからは、薪の爆ぜる音を聴きながら焚き火を囲む談話セッションへ。日中のワークでは出し切れなかった事業へのこだわりや、日頃抱えているリアルな経営の悩みなどが、炎の揺らめきとともに自然と溢れ出していました。解散後も、温泉で疲れを癒やす参加者や、開放された会議室に集まってワークの続きを行う姿が見られました。



6)体操:心身を覚醒させ、2日目へギアシフト
2日目の朝は、梅雨の雲が広がる重ための空気を一掃するように、おうちの診療所の横田氏による名物体操からスタート。2日目のプログラムが始まる直前、まだ少し頭が起き切っていない時間帯に全員で起立し、5分ほどしっかりと体を動かして脳と身体を一気にリフレッシュ!心身ともにクリアな状態へギアシフトさせました。
7)仮説検証計画レビュー:仮説検証計画を抽象から具体へ、戦略の方針転換
心身を覚醒させた直後、「4か月間の仮説検証計画レビュー」に臨みました。1日目の夜通しのワークを経て、カタチにしたそれぞれ中間アウトプットに対し、ここでも非常に濃い議論が交わされました。



平井氏のパートでは「教育プログラムの再現性」の重要性が確認され、宗氏のパートでは加算に直結しにくいジレンマに対する打ち手が揉み出されました。また守安氏のパートでは、医師の入力手間を極限まで簡素化するUI/UX設計が普及の分岐点になる、という本質的な示唆が得られました。
8)ワールドカフェ:10分ごとの席替えで大量の「集合知」をブレンド
仮説検証計画レビューで各起業家の仮説検証計画の現在地と課題が全員に共有された後、さらに強固なものにするため「ワールドカフェ形式」によるブラッシュアップ・セッションを1時間実施しました。起業家5名がそれぞれのテーブルオーナーとして席に残り、すべてのメンター陣が10分ごとに次々とテーブルを入れ替えながら、フィードバックを重ねていくスタイルです。一人のメンターの視点だけでなく、多様な専門性を持つメンター陣の知見が短時間で次々とブレンドされ、視点を一気にアップデートしていく、熱狂的な集合知の融合セッションとなりました。


9)最終ピッチ「磨き上げた4か月間の仮説検証計画」
合宿の締めくくりとして、すべてのフィードバックを吸収し、限界まで磨き上げた「4か月間の仮説検証計画」の最終ピッチが行われ、起業家たちは、4か月間の目標(KGI / KPI / 検証アクション / 評価方法)を堂々とプレゼンしました。





すっきりしない梅雨空の下で行われた合宿でしたが、各参加起業家の未来をこじ開けるような力強いピッチに、お互い大きな拍手を送り合いました。この2日間で、参加起業家たち自身はもちろん、検証計画は大きくブラッシュアップされました。初日は現場課題の抽象度に対峙していた5名ですが、メンター陣との濃密なディスカッションを経て、課題の解像度は向上。全員が「明日から動かせる仮説検証計画」を掴み取るという成果を生み出しました。参加起業家からも、「自分一人ではアクセルを踏み切れなかったが、4か月間で進むべきロードマップが明確になった」「前向きな刺激を受けた」と、確かな手応えを示すコメントが寄せられました。
最後に、2日間の合宿の総括や感想、学びを共有するチェックアウトを行い、熱狂の2日間は完全撤収の時間を迎えました。
起業家たちは、これから4か月間の仮説検証に挑みます。彼らの挑戦に共感し、「現場で試してみたい」「顧客や協力先を紹介できる」という方は、ぜひ下記までご連絡ください。
▼KNOT Program 2026 運営事務局▼
hitoshi.hiraokavc-cmv.com(平岡)
※を@にご変更ください。
【撮影=Hiroshi Kamigaito】
【参加起業家およびメンター紹介】
平井大輝 氏(株式会社CLACK 代表取締役)

担当メンター:後町陽子(株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ ) ※写真左

堀田一希 氏(株式会社BabuuTalk 取締役)

担当メンター:
平岡 仁志(株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ) ※写真左
横田 達之(おうちの診療所 / 株式会社omniheal) ※写真右

宗大貴 氏(株式会社医伝士 代表取締役)

担当メンター:及川 大輝(株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ) ※写真左

臼居航 氏

担当メンター:
平岡 仁志(株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ) ※写真左
横田 達之(おうちの診療所 / 株式会社omniheal) ※写真右

守安巧 氏

担当メンター:
石井洋介(おうちの診療所中野 院長 / 株式会社omniheal代表取締役) ※写真左
甲 浩子(おうちの診療所目黒 事務長) ※写真右

